新旧住職対談
9月23日に行われる住職継職奉告法要に先立ち、新旧住職の対談を行いました。寺報「ほうりん」に記載した内容ですが、今一度HPにて対談内容を掲載させていただきます。ご笑覧ください。
住職として大切にしてきたこと
新住職:昭和58年に住職になってから38年余り、長い間お疲れ様でした。今日は住職として妙善寺の運営に長年携わってこられた中での様々な思いをお聞かせください。
まず、住職として大切にしてきたことは、ズバリ何ですか?
前住職:住職として大切にしてきたことは、ご門徒の皆様に喜んでもらうことを第一に心掛けてきたかな。そのためにお酒の席での付き合いも大変でした。腹いっぱい飲ませていただきました。楽しい毎日でした。
新住職:確かにお酒を飲む飲まないは今とはだいぶ事情が違うね。私もそのあたりはしっかり引き継ごうと、法事の際なども出来るだけお付き合いしてましたが、今はひとりでお参りするので、後のことを考えるとなかなか飲めなくなりました。肝臓を悪くしてまで、お付き合いしていた姿は、頭が下がりますね。その他にも、草野球チームつくったりお寺の行事以外にも色々工夫をしていたのは、喜んでもらいたいという気持ちが強かったからですかね?
前住職:そう、喜んでもらうこともだし、ご門徒の皆様に認めてもらいたいという気持ちが強かったかな。だから、お酒の付き合いも頑張ったし、色んな取り組みにも挑戦した。
ご門徒の皆様に認められたいという強い思い
新住職:それは、家庭環境というか、お寺を継ぐきっかけが大きかった?そのあたりをあらためて聞いてみたいかな。
前住職:自分は5人兄弟の3番目として生まれて、優秀な兄と姉がいたので、まさかお寺を継ぐとは思ってもみなかった。大学で勉強している頃に兄が病気で体調を崩したのもあって、もしかしたらという思いもあって卒業後に一応仏教系の大学に入り直して少しだけ勉強はした。でもお声がけをいただい柳川の伝習館高校で歴史の先生になった。人気があったとよ(笑)それから4年後くらいに、兄が入院することになり、急遽お寺に帰って来いと言われて、僧侶の道に進むことになった。あまり期待されていない中で、後を継ぐことになったから認めてもらいたいという思いが強かったのかな。
新住職:まあ、80過ぎた今でも「お寺を継ぎたくなかった」というくらいですから、色々な思いがあったのでしょう。そのような思いをしたからか、子どもたちにはあまりお坊さんになれとか、将来に向けたレールを引くことがなかったのかなと、おかげであまりプレッシャーを感じることなく、とても助かりました。私の名前の「賢史」は、仏道を歩む立場をあらわす曾祖父「賢信」祖父「賢仁」から「賢」の一文字と、僧侶以外で自分が目指した道の「歴史の先生」からの一文字を取っているんですね。仏道と同じように自分自身の好きなものも大切にしなさいと。
えっ?そんなに意味はない?苦笑
では、「お寺を継ぎたくなかった」に並ぶ口癖に「佐賀で一番のお寺になる」というのもあると思いますが、これも認めてもらいたいという思いから?
前住職:そう、分かりやすい目標としてそのように言っていた。住職になった時のご門徒数が320軒くらいで、今は650軒を超えたので、倍増している。ある程度の達成感はあるかな。
ご門徒の皆様のおかげで苦労を感じなかった。
新住職:最近はご門徒様のお寺離れなどで存続が危ぶまれるようなお寺が増える中で、ご門徒数が倍増していることはすごいことだと思います。ただ、やりっぱなしで、バトンを渡されるこちらの身にもなってくださいというか、、、なかなか一人では難しい規模になってきているので、今後の運営はしっかり考えますし、私も認めていただけるよう努めてまいります。さて、住職として苦労したこと、大変だったことはなにかありましたか?
前住職:ご門徒の皆様に良くしてもらったし、楽しいばかりで苦労と言えることはあまりなかったかな。
新住職:門徒会館、庫裡の建設や本堂の修繕などは大変ではなかったですか?多額の懇志をお願いする場面もあったと思いますが?
前住職:それでいうと、大変だったのは皆さんで、本当に皆さんが快く協力してくださったので苦労ということはないです。感謝ばかりです。
あとの願いはただひとつ。。。
新住職:そのように言えるよう私も心掛けます。それでは最後にこれからの妙善寺に期待することはありますか?
前住職:何もありません。あとは若いものに任せます。あっ、ひとつだけ!葬儀だけは盛大にお願いします!
新住職:いやいや、なかなかそんなこと自分で言う人おらんよ(笑)今は、葬儀自体が小規模化してるしね。でも、遺言としてしっかり心に刻みます。盛大にお送りしますね。ご門徒の皆様に最後に一言お願いします。
前住職:私のことも妙善寺のことも良く支えていただきました。ありがとうございました。葬儀には来てね~!
新住職:軽いなぁ~(笑)それでは継職法要当日もよろしくお願いします。さて、坊守様にもお隣でお話を聞いていただいてましたが、振り返ってみて坊守という立場でいかがでしたか?
前坊守:はじめは慣れない環境でどこでだれが見ているか分からないというプレッシャーで、お寺は檻のない牢獄だと感じることもあったけど、今となっては、皆さんに良くしてもらって楽しかったと思えます。
新住職:僧侶の立場でいうことではないけど、また、生まれ変わっても、父と結婚してお寺に嫁ぎたいと思う?
前坊守:う~ん、嫌じゃないかな(笑)
新住職:ラブラブですね。ごちそうさまでした。来年は金婚式ですので、コロナが落ち着いたら、どこか旅行でも行って楽しんでください。